あのとき学んだのさ

使い道も知らない鉄の塊運びながら

重いな、と彼は笑顔で言った

確かに重そうに、痩せた笑顔で

あろうことかそんときの俺

日雇い労働の最中にさえ

優しさ探してたんだろうよ

心が明るくなったよ

冷えきった安っぽい弁当

それでも腹さえ減ってれば

美味いもんさ、あのとき学んだのさ


慣れた手つきでインパクト使いながら

事情を知ってか知らずか、彼は言った

こんなもん将来使わないだろうしよ

見てても無駄だぜ

今じゃ俺はエリートコースまっしぐら

確かにあんたの言う通りだよ

何もかもそうだったよ

どこに行っても使うべきはただ一つ

たった一つ、あのとき学んだのさ


おいお前、日本語わかるか?

ケンカふっかけるように彼は言った

ただはい、と答えたそんときの俺

悔しくても何も言い返せず

今じゃそれも笑い話

怒鳴られるのには慣れたけど

いまだに部屋で

一人泣くときもあるぜ、あのとき学んだのさ